キラー・ブルックスのギロチン・ドロップ

2002.3.9 update

 

 

 ブルックスがエースなんて国際プロでしか考えられ
なかった!

 

 2002年3月に行われた3周年記念オフ会の目玉企画として国際プロレスの秘蔵映像を鑑賞した。雑誌でしか知りえなかった試合の数々が映し出せれて、筆者は非常に感激したわけであるが、中でも一番新鮮だったのは「エースとして」登場しているキラー・ブルックスの姿である。ブルックスはディック・マードックの従兄弟であり、海外でもトップ・クラスのレスラーではあったが、日本の団体で彼をエースとして扱ったのは国際プロレスだけであった。当時の国際のエースはラッシャー木村であり、木村にはロビンソンのようなテクニシャンタイプよりもブルックスや、ジプシー・ジョー、トーア・カマタ、アレックス・スミルノフといった狂乱型のラフ・ファイターをぶつけるほうが試合がスウィングするのである。そんな理由でブルックスもエースに抜擢されたのである。

 私がテレビ観戦をはじめたころのブルックスは、全日本プロで3番手ぐらいの扱いを受けており、TVに登場しても彼がフォールを奪うシーンはお目にかかれなかった。それだけにブルックスのフィニッシュ・ホールドは何なのかということに非常に興味を引かれのである。ビデオではブルックスとマイティ井上の試合が映し出されている。ブルックスが木村に挑戦する1週前のテレビ中継ようだ。試合の中盤に体育館の2階バルコニーにスポットがあたる。浮かび上がったのは、翌週にブルックスの挑戦を受ける木村であった。これが腕を組み無表情なのがおかしい。ブルックスは木村を十分に意識し、井上のサンセットフリップを自爆させ、ロープに飛んで豪快なギロチンドロップ1発でフォールを奪い、木村を指差し「カムラー!」と叫ぶ。と同時に「次週 IWA世界選手権 木村VSブルックス」のテロップが・・・。本番のタイトルマッチでブルックスはなんとセカンドロープからのギロチンドロップで木村からフォールを奪っている。木村が偵察していた試合では奥の手を温存していたというわけだ。うーん深い!

 

 

   
         
ギル・ヘイズも多用していた  

ホーガンはアメリカではこの技をフィニッシュとしている。

 

ブロディはフィニッシュへの布石として使った

 

 同じ国際プロに準エースとしてよく来日していたカナダの復讐鬼 ギル・ヘイズもギロチンドロップを得意としていた。彼は飛び上がった瞬間に舌をべろっと出し、残忍な表情をするのを売りにしていた。昭和50年代に来日したレスラーの中ではなんと言ってもブルーザー・ブロディのギロチン・ドロップが豪快であった。フィニッシュのジャンピング・ニードロップと同じ入り方をするため、ファンは大いに盛り上がりブロディがギロチンを出すと、的が外れてさらに盛り上がるという。これはブロディのすばらしい計算であった。もう一人忘れてはならないのがハルク・ホーガンである。アメリカでの試合ではこの技をフィニッシュとして多用していたが、日本ではこの技をフィニッシュにはしなかった。日本のファンにこの技は受けないということを察知したのであろう。トップ・レスラーにはこのようにファイトする土地土地でスタイルを変える柔軟性も必要なのである。