ミル・マスカラスのメキシコ式回転押さえ込み

2002.8.6update
2002.10.24改訂
2002.11.2再改訂

 

   
正面からヘッドシザース   そのまま後方に   マスカラスはそらずに後頭部から落ちる
   
相手はロス時代に因縁のある小鹿   エプロンで見つめる小沢の表情に注目   このままカウント3

 

 昭和の日本でビル・ロビンソンとともに日本人には見慣れぬ技を紹介したレスラーは仮面貴族と呼ばれたミル・マスカラスである。マスカラスが日本で初めて公開した技の中には、現在日本人レスラーがごく普通に使いこなしている技もある。そんな中で当時メキシコ式回転押さえ込みと呼ばれたフランケンシュタイナーは日本でもポピュラーな技の一つとなった。

 上の連続写真はマスカラスが昭和46年サマー・ミステリー・シリーズに来日した際、因縁のグレート小鹿に炸裂させたものである。マスカラスの場合、回転した後、相手の脚を脇にはさんでエビ固めには持っていっていない。これはウラカン・ラナ(・インベルディタ)というよりも、スタイナー兄弟がフィニッシュに使ったフランケン・シュタイナーといってよかろう。マスカラスがこの技を炸裂させる相手に小鹿を選んだのは、ロスで何度も対戦した小鹿がこの技の存在を知っていたためと思うのだが、いかがだろうか?

 しかしこの技は当時の日本のレスラーやファンには斬新すぎて訳がわからなかったのではないだろうか?エプロンで試合を見つめる小沢の「なんだ、この技は?」といった表情がすべてを物語っている。未知の技が繰り出される・・・これが昭和プロレスの魅力であった。時間がたつにつれ、このような感動は完全にマットから消えつつある。

 

     
             
百田弟はメキシコでこの技を会得。

 

   

         
フランケン・シュタイナーを猪木も使っていた!  

ブレイク前のリック・マーテルも

 

 さて、このフランケンシュタイナーを初めて使った日本人は誰だろうということになるが、調べてみた限りでは、メキシコ帰りの百田光雄が昭和48年にこの技を月刊プロレス’73年6月号の「プロレス入門」というコーナーで公開している。百田はメキシコでこの技を覚えたのであろう。実験台は佐藤昭雄。しかしながら百田がこの技を実戦で使用したかどうかについては不明である。

 さて、実戦で使った記憶が残っている日本人による最古のフランケンシュタイナーを使ったレスラーはなんとアントニオ猪木であった。猪木はこの技を昭和49年の闘魂シリーズ第二弾でジョン・トロスを相手に炸裂させている。この時はグラビアでも大きく取り上げられたが、フィニッシュにはならなかった。猪木は一体この技をどこで覚えたのか?46年にマスカラスが使ったのを覚えていたのか?もしくはメキシコ遠征経験のある柴田か星野から伝授されたのか?またまた謎は深まるのであった。

2002.11.2付記

 その後の調査で、猪木がこの技を公開したのは46年の第13回ワールドリーグ公式戦5月10日四日市大会での対デストロイヤー戦であったことが判明しました。この時はデストロイヤーを見事にフォールしています。つまりマスカラスがサマーシステリー・シリーズで公開する以前に猪木はこの技を公開していたということになりますが、果たして猪木はどこでこの技を会得したのでしょうか?ますます謎が深まりました。