パット・オコーナーのオコーナーズ・ロールアップ

2002.10.1 update

 

 
これこそまさに名人芸!

 

 今年の春頃から当研究室の掲示板は、熱心な昭和プロレスファンの皆さんが殺到、1日見ないと浦島太郎状態になるという大盛況だ。中でもファンの皆さんが熱い議論を繰り広げておられるのは、はやり必殺技に関する話題である。その議論の中で「必殺は決まるまでのつなぎ、プロセスが重要だ!」とおっしゃる向きは多い。そこで今回は、既に類似技研究で紹介済の後方回転エビ固めについて書いてみたい。

 後方回転エビ固め=ローリング・バック・クラッチは相手のバックを取って、ロープに押し付けロープの反動を利用して後方に丸め込むという技である。日本ではマイティ井上が得意にしていた。しかしなんといってもこの技の名人は元NWA世界ヘビー級選手権者のパット・オコーナーであるという意見は多い。この技はオコーナーが使うとオコーナーズ・ロールアップと呼ばれていたそうだ。このオコーナーの後方回転エビ固めに持ち込むまでのプロセスはまさに名人芸というほかにない。以下の連続写真をご覧頂こう。

 

 

   
             
シカゴでのNWA世界戦  

ロジャースがオコーナーにタックル

  倒れるオコーナー   ロジャースは二発目を狙ってロープへ

 

 

   
             
軽快に跳ね上がるオコーナー  

帰ってくる相手を見据え・・・。

  立ち上がると同時に身をかわし・・・。  

素早くバックをとると・・・。

 

 

   
             
ロープに押し付けて・・・  

反動で後方に回転!

  半回転して  

いっきに丸め込む!

 

 この流れるような動きはまさに名人芸。彼は晩年までこのオコーナーズ・ロールアップをフィニッシュにしていた。日本ではジャイアント馬場を丸め込んだのを筆頭に、吉村道明、高千穂明久というテクニシャンタイプのレスラーを見事に丸め込んでいる。彼のファイトを良く知るファンはオコーナーがタックルで倒される度に「出るか、出るか!?」と身を乗り出したに違いない。2,3度はグラかされて、オコーナーが跳ね上がって相手のバックを取った瞬間にファンは思わず立ち上がるのである。ファンの身を乗り出させる見せ場を持っているということも超一流レスラーの条件だといえよう。