ユナイテッド・ナショナル・へビー級選手権 (日本プロレス編 その2)

 

タイトルのあらまし

猪木の除名により空位になったUN選手権の王座決定戦は当初47年の新春チャンピオンシリーズに来日が予定されていたWWWFヘビー級選手権者のペドロ・モラレスと坂口征二の間で行われつ予定であったが、モラレスの来日中止により計画は流れ、カナダのバンクーバーで王座決定トーナメントが行われた。トーナメントの参加者は。デール・ルイス、ルーク・グラハム、ボリス・マレンコ、ドン・ジャーディン、ペッパー・マーチン、ロニー・メイン、シャグ・トーマス、ルター・レンジ、トム・アンドリュース、ビル・ワット、ボビー・グラハム、キング・クローの12名。決勝戦はK・クローとS・トーマスの間で行われ、21分36秒でクローがキングを破り王座を獲得した。

日本プロは坂口売り出しのためにUN選手権獲得に乗り出し、ロスにクローをブッキングさせUN選手権を開催し、見事に坂口が王座奪取しふたたび日本に同選手権を持ち帰った。一度ザ・シークに王座を奪われるが坂口は1年間に渡り王座を防衛。しかし48年にNETの薦めで日本プロと新日本プロの合併に乗り出すが、選手会の反対を受け日プロ内で孤立。当初は新日本プロに虎の子のベルトを持参する積もりでいたが、さまざまな妨害に屈し王座をJ・バレンタインに明け渡した。(この詳細は昭和プロファイル「日本プロ崩壊への軌跡6」を参照のこと)坂口亡き後のエースに高千穂に白羽の矢を立てた日プロは強引なやり口でバレンタインから王座をもぎ取るが、その1ヶ月後に日本プロは崩壊、UN選手権も消滅してしまうのであった。

 

 

       
                 
キング・クロー   坂口征二   ザ・シーク   ジョニー・バレンタイン   高千穂明久

 

国内タイトル戦一覧 (左が選手権保持者)
 
47年2月11日 ロサンゼルス オリンピック・オーデトリアム 60分3本勝負
● キング・クロー (1−2) 坂口征二 ○
クロー(体固め 15分30秒)
坂口(片エビ固め 6分10秒)
坂口(アルゼンチン式背骨折り 6分22秒)
 
47年3月13日 仙台 宮城県スポーツセンター 60分3本勝負 ダイナミック・シリーズ
○ 坂口征二 (2−1) ハーリー・レイス ●
レイス(首固め 8分43秒)
坂口(リングアウト 5分18秒)
坂口(体固め 4分30秒)
 
47年6月5日 前橋 群馬スポーツセンター 60分3本勝負 ゴールデン・シリーズ
○ 坂口征二 (2−0) キング・クロー ●
坂口(逆エビ固め 13分10秒)
坂口(体固め 3分20秒)
 
47年7月30日 福岡スポーツセンター 60分3本勝負 サマー・ビッグ・シリーズ
○ 坂口征二 (2−0) ベーポ・モンゴル ●
坂口(反則勝ち 19分22秒)
坂口(逆片エビ固め 1分24秒)
 
47年9月6日 東京田園コロシアム 60分3本勝負 第2次 サマー・ビッグ・シリーズ
● 坂口征二 (1−2) ザ・シーク ○
シーク(ラクダ固め 3分16秒)
坂口(片エビ固め 1分21秒)
シーク(体固め 56秒)
 
47年9月7日 大阪府立体育会館 60分3本勝負 第2次 サマー・ビッグ・シリーズ
● ザ・シーク (0−2) 坂口征二 ○
坂口(反則勝ち 4分22秒)
坂口(体固め 3分)

最後のまだ見ぬ大物といわれたザ・シークを招聘してのUN2連戦はお互い1勝づつし、タイトルは元の鞘に収まった。シークはこの2試合のために来日。当時の売れっ子振りが窺える。

 
47年10月18日 高崎市体育館 60分3本勝負 第3回NWAタッグ・リーグ戦
○ 坂口征二 (2−0) ワルドー・フォン・エリック ●
坂口(反則勝ち 14分14秒)
坂口(逆片エビ固め 3分50秒)

日本プロとしては珍しくリーグ戦の最中に行われたタイトル・マッチ。やはり客入りの悪さをカバーするための作戦であったか?挑戦者のワルドーは実力者であったが、このシリーズでは不調。坂口に軽くあしらわれた。

 
47年11月29日 札幌 中島スポーツセンター 60分3本勝負 インター選手権シリーズ
△ 坂口征二 (1−1) ジン・キニスキー △
キニスキー(体固め 4分25秒)
坂口(逆片エビ固め 17分18秒)
(両者リングアウト 11分17秒)
 
47年12月14日 岐阜市民センター 60分3本勝負 インター選手権シリーズ
○ 坂口征二 (2−1) ジン・キニスキー ●
坂口(反則勝ち 19分57秒)
キニスキー(体固め 5分5秒)
坂口(逆片エビ固め 6分)

全世界王者でキング・クローの師匠格として弟子の敵討ちに燃えるキニスキーとの2連戦であったが、結局2フォールは奪えずじまい。エースとしての試合振りに課題を残した。

 
48年1月5日 東京後楽園ホール 60分3本勝負 新春チャンピオン・シリーズ
○ 坂口征二 (2−0) ミスターX ●
(両者リングアウト 8分22秒)
坂口(逆片エビ固め 56秒)

坂口のUN防衛戦は反則、両者リングアウトがらみが多く、2フォール防衛が極端に少ない。48年の年頭を飾るこの試合も挑戦者が元NWAジュニアヘビー王者の実績があるとは言え、過去の挑戦者に比べると2枚ほど落ちる。試合内容の無気力振りが目立った。

 
48年3月2日 横浜文化体育館 60分3本勝負 ダイナミック・シリーズ
● 坂口征二 (1−2) ジョニー・バレンタイン ○
バレンタイン(体固め 4分23秒)
坂口(体固め 2分50秒)
バレンタイン(リングアウト 2分)

さまざまな裏事情が合ったこの試合。当時jの雑誌では「坂口の無気力試合」、「王座を放棄」などという具合に報じられているが、実際には日プロを後にする坂口に対し幹部や選手会からの嫌がらせがあった。詳細は昭和プロファイルを参照のこと。

 
48年3月8日 佐野市民会館 60分3本勝負 ダイナミック・シリーズ
● ジョニー・バレンタイン (1−2) 高千穂明久○
(両者リングアウト 9分22秒)
高千穂(リングアウト 3分24秒)

日本プロが坂口の後のエースに指名した高千穂は如何に若手の成長株とは言え、超一流のバレンタインに太刀打ちできるはずもなかった。しかし王座奪取に燃える日プロはフォールなしでタイトルを移動させるという暴挙に出る。タカチホをエースに再起を賭けた日本プロれあったが皮肉にもこの試合の中継を最後に頼みの綱のNETは日本プロの放映を打ち切ってしまった。

 
48年4月19日 横浜文化体育館 60分3本勝負アイアン・クロー・シリーズ
○ 高千穂明久 (2−1) キラー・カール・クラップ
クラップ(体固め 10分17秒)
高千穂(体固め 25秒)
高千穂(体固め 5分40秒)

日本プロにおけるUN選手権最後の試合。もちろんノー・テレビで閑古鳥の鳴く会場でひっそりと行われた。この試合を最後にUN選手権は一時日本マットからその姿を消した。