アルビン・スミスのパワースラム

2002.11.27 update

 

知名度の低いレスラーにも個性があった。

 

 ロープにふって戻ってきた相手を横抱えにして身体をひねりながら叩きつけるパワースラムは平成のリングでもすっかり定番となった。既に紹介済みのホースト・ホフマンのサイド・スープレックスがこの技の原型と見て間違いない。ホフマンはリバウンドで帰ってきた相手を横抱えにし体をひねりながら放り投げていたが、アルビン・スミスが得意としたパワースラムは、これにアバランシュホールドの要素を取り入れ、放り投げずに最後まで相手を抱えたままマットに叩きつけ、そのままフォールに持ち込むという合理的な技であった。当時のファンもこの技にはインパクトを受けたようで、アルブン・スミスの名を思い出せなくても、この技は覚えているという人は多い。残念なことにスミスは、南部地区では将来を嘱望され、テッド・デビアスとのコンビで暴れていたのだが、プロレスの水があわなかったのだろう。すぐにプロレス界から足を洗ってしまったのである。ある意味「失われた強豪」といえるだろう。

 

   
カネックはつなぎ技として多用。  

ウォーリアーズのパワースラムは
重量感があった。

 

谷津のワンダースープレックス

 

     
この時期のテッド・デビアスはいろんな意味で「アメリカ版ジャンボ鶴田」の感が強かった。

 

   
バズ・ソイヤーは非常にスピーディーでなおかつパワフルなパワースラムを得意とした。

 

 本格派時代のテッド・デビアスもパワースラムをフィニッシュに使っていた時期もあったが、この技が普及したのは、昭和の末期にロード・ウォリアーズ、バズ・ソイヤーが多用し始めてからのことである。ウォリアーズのパワースラムは非常に重量感があった。バズ・ソイヤーのパワースラムは、スピード、パワーともに迫力満点であった。このソイヤーは70年代後半からテネシー地区では活躍していたのだが、どうしても体重が増えずに長く下積みをつんだレスラーで、昭和末期に滑り込みでブレイクした遅れてやってきた強豪である。しかしその裏にはステロイド禍があった事を忘れてはならない。