類似技研究 その1 〜 オクラホマ・へイライドほか

2000.12.10 update
2003.12.7 remake

 

夏のオフ会で存英雄氏から「オクラホマ・へイライド、ローリング・クレイドルなどの類似技の違いをぜひ研究して頂きたい」という宿題を頂いていた。年末の今になってようやく資料が揃ったので、ここで研究の成果(?)を発表したいと思う。

まず、今回の研究対象になったのはオクラホマ・ヘイライド、ローリング・クレイドル、ロッキング・チェア・ホールド(=バナナ・スプレット)の3種、さらにこれに近似種であるキウィ・ロールとロビンソンズ・スペシャル・ホールド(筆者命名)である。では先に上げた4種の技についての研究結果を発表いたします。

このオクラホマ・ヘイライド(回転股裂き)、ローリング・クレイドル(回転揺りイス固め)、ロッキング・チェア・ホールド(揺りイス固め)、バナナ・スプレット(バナナ裂き)は、基本的には全く同じ技であった。ただし、日本語表記を見て頂ければわかるように、回転するかしないかで違いがあり、2タイプに分類できるのである。では、まず回転しないロッキング・チェア・ホールドと、バナナ・スプレッドを解説する。

 

 

  まず、ロッキングチェア・ホールドはコブラツイストに入るように相手の脚を自分の脚でフックしておいて、後方に倒れこんでもう片足を腕でホールドして股さきの状態に持ち込むワザである。

左の写真はアントニオ猪木が昭和49〜50年頃に多用したロッキング・チェア・ホールドでバナナ・スプレッドと呼ばれていた。猪木の場合は自分がロープに走って相手の足をロックして後方に倒れこんで、フォールするという一種の回転エビ固めのような感じで使っていた。猪木は痛め技ではなく、一瞬の隙を突いたフォール技としてこの技を使っていたようだ。決まった形は同じ。

またグラウンド・コブラ・ツイストをバナナスプレッドと呼ぶ場合があることも付け加えておく。

 

 

 

 

 

 

 

   

 

さて、残る2種・・・ローリング・クレイドルとオクラホマ・ヘイライド(連続写真)はほとんど同じ技で、オクラホマ出身のダニー・ホッジ(写真上)がオクラホマ・ヘイライドの使い手として知られる。技への入り方はロッキング・チェア・ホールドとおなじ。倒れこんだ後に回転するのがオリジナルである。テリー・ファンクが使っていたローリング・クレイドルはこれをさらに発展させた技で高度な技術が必要。詳細はそれぞれの特集を参照していただきたい。

オクラホマ・ヘイライドはこちら、ローリング・クレイドルはこちら

 以上がオクラホマ・へイライドとその類似種であったが、以下は近似種について解説しよう。まずは新日本プロレスの旗揚げ時の看板外人であったレッド・ピンパネールの正体アベ・ヤコブ(エイブ・ジェイコブズ)がオリジナル・ホールドと称して、フィニッシュ・ホールドとしていたキウィ・ロールである。写真をご覧になってわかるように、この技とオクラホマ・へイライドとの違いは相手の右足が遊んでいること。そして完全な関節技であることである。豊登などエース級の選手がこの技の餌食になっている。どちらかといえば以前紹介したラッシャー木村の回転足四の字固めに近いような印象を受ける。

 

     

 

  一方こちらは国際プロレスの外人エースとして奮戦していた時のビル・ロビンソンがよく使ったという、ロビンソンズ・スペシャル・ホールドである。今回紹介した6種の技の中で一番関節技としては、一番説得力がある。左足で相手の左足をフックするのはバナナ・スプレッドと同じだが、相手の右足の膝の裏の部分に自分の右足をねじ込み、両手で相手の足をぐいぐいと痛めつける。キウィ・ロールとは違い相手は完全に下半身の自由を奪われており、素人目にもこの技は「効きそう!」な拷問技である。

 

以上の6種の技は見た目非常に似ているが、細かい部分で使い手による改良が行われていたことがおわかり頂けると思う。しかし残念ながら女子プロの豊田真奈美がオクラホマ・ヘイライドを時折見せるぐらいで、どの技も完全な絶滅技になっている。この様な職人的な技を使う選手の登場を心から願ってやまない。